年をとると、誰でも「物忘れ」が増えてきます。
「今まで普通にやれていたことが急にできなくなった」「通い慣れているはずの道がわからなくなった」「大切な約束を忘れてしまった」「同じことを何度も聞いたりするようになった」――こうした物忘れには、単なる加齢による場合(良性健忘)と、軽度認知障害、認知症の初期段階の場合とがあります。そして、いずれかを見極める診断が非常に大切になってきますので、「物忘れが増えてきた」「最近おかしいな。。」と思ったら、早めに受診していただくことをお勧めいたします。
良性健忘
加齢にともなう年齢相応の「物忘れ」で、心配いりません。
軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)
認知機能(記憶、決定、理由づけ、実行など)のうち1つの機能に問題が生じてはいるものの、日常生活には支障が無い状態のことで、健常者と認知症の人の中間段階(グレーゾーン)に位置します。 MCIを放置しておくと、認知機能が低下していき、5年間で約50%の人が認知症へと進行すると言われます。しかし軽度認知障害の段階で適切な治療を行うと、本格的な認知症の発症を防いだり遅らせたり出来る場合があるので、MCIと診断されたら早めに治療を受けるようにしましょう。
認知症
認知症とは、正常に働いていた脳の機能が低下し、記憶や思考への影響が見られる疾患です。2002年に149万人であった認知症患者は、10年で400万人を超え、「新オレンジプラン」では、2025年には認知症患者数が700万人前後になると言われています。
認知症では、物事を記憶したり判断したりする能力や、時間や場所・人などを認識する能力が低下するため、実生活に支障が生じてきます。
今まで普通にやれていたことが急にできなくなった、通い慣れていたはずの道がわからなくなった、同じことを何度も聞いたりするようになった――こうした「もの忘れ」には、単なる加齢による場合と認知症の初期段階の場合とがありますので、一度、医療機関を受診なさるよう、お勧めいたします。こんな症状の時は、当院へご相談ください
- ものの名前が思い出せなくなった
- しまい忘れや置き忘れが多くなった
- 何をする意欲も無くなってきた
- 物事を判断したり理解したりする力が衰えてきた
- 財布やクレジットカードなど、大切なものをよく失くすようになった など
ご家族のこんな症状にお気づきの方はご相談ください
- 時間や場所の感覚が不確かになってきた
- 何度も同じことを言ったり、聞いたりする
- 慣れている場所なのに、道に迷った
- 薬の管理ができなくなった
- 以前好きだったことや、趣味に対する興味が薄れた
- 鍋を焦がしたり、水道を閉め忘れたりが目立つようになった
- 料理のレパートリーが極端に減り、同じ料理ばかり作るようになった
- 人柄が変わったように感じられる
- 財布を盗まれたと言って騒ぐことがある
- 映画やドラマの内容を理解できなくなった など